現場の状況と経緯
- 江戸川区のお客様から「11月に大風で屋根が破損したから、屋根をみて欲しい」と依頼を受けましたので、お伺いしました。築30年前後で、鉄骨造りのお宅です。
- 後でわかったことですが、屋根は、元々は三晃式瓦棒葺きで、その上に木下地(母屋から)を作って、新規の横葺きの金属屋根を葺きかぶせてるようでした。
- 一番上に葺いてある、横葺きの金属瓦の北側の軒先が約3mくらい、破損してました。
- 一見、北側の軒先の部分しか、破損してないように見えましたが、詳細を確認してみると、北側軒先が全体的に水を吸って、軒先が外れかかってる状態でした(おそらく、屋根勾配がほとんどないので、軒先に水が廻りやすく、軒先の木下地が傷んで釘が外れやすくなったと思われます)。屋根も足で乗るとブヨブヨで、かなり傷んでる様子でした。
- 南側は太陽光パネルが載っているせいか、比較的、安定してる状態でしたが、軒先は同じく全体的に外れかかった状態でした。
当社の提案内容
- 施主様としましては、当初はできるだけ手をかけたくないので、太陽光パネルが搭載されている南側はできるだけいじらず、北側片面のみの葺き替えをご希望でしたが、南側軒先が全体的に外れかかってるのと、南東側の屋根がブヨブヨしてるため、一度太陽光パネルを仮移設して、横葺きの金属屋根(腐ったりしてる、木下地も完全撤去)を完全撤去して既存の野地板の腐食した箇所を補強・補修・張替えして、木下地を造作して、新規ルーフィング23㎏を設置して、ビルトマテリアル株式会社製のBM Roofing デコルーフH30-455 吊子一体型篏合(かんごう)竪平葺きを採用することにしました。
- そして最後に、仮移設しておいた太陽光パネルを改めて設置していきます。
北側の状況
- 直接の原因は大風で北側の軒先の屋根で破損してるようです。もともと、屋根勾配がそれほどないので、屋根材、下地が雨水を吸い上げて、腐食してるところに、大風で軒先が外れたと考えられます。
下地の腐食
- 水が廻ってるので、足で踏みつけたら、かなりブヨブヨしてるようです。南側の屋根も数か所、同じような箇所がありました。傷み具合としては、既存の横葺きの金属屋根の下地になってる、三晃式瓦棒の溝の下地が腐食してるので軒先はかなり、水が廻ってると想定されます。
着工・ビフォーアフター
既設太陽光パネル仮撤去
- 既設太陽光仮撤去状況です。
- 手順としては、既存の太陽光パネルを外していって、後で架台も取り外していきます。
- 架台も強力なビスでかなり強力に止めてあるので、通常ですと、これではそう簡単に太陽光パネルは大風では飛ばないだろうと考えられますが、これだけ屋根勾配が緩やかで、雨水を吸い上げやすいと、いずれは太陽光パネルを設置してある側(南面)の屋根も傷んできて、太陽光パネルに影響を与えたと思われます。
既設太陽光パネル仮撤去完了
既存棟板金撤去状況
- いよいよ、屋根の解体に入ります。既存棟板金撤去を撤去していきます。屋根裏はかなり、結露というか、雨水というか、水分がべったり付着してます。
既存金属屋根撤去状況
既存金属屋根撤去状況2
既存木下地屋根撤去状況
- 既存木下地屋根撤去状況です。横葺きの屋根を撤去して、既存のルーフィングが敷いてあって、母屋や木下地がはってます。かなりの厚みです。正直、想定外の面もありましたが、解体にかなり苦労しました。
既存木下地屋根撤去状況
- 既存木下地屋根撤去状況の終盤のほうです。ここまで来ると、かなり見えてきたという感じですが、まだ下に既存の三晃式の瓦棒がありますので、どれくらい傷んでるのか気になるところです。
既存三晃式屋根撤去状況
- 既存三晃式屋根撤去状況です。やはり、北側の屋根の軒先が外れた箇所は、既存の三晃式瓦棒にもかなり水が廻ってることが確認されました。
既存三晃式屋根の撤去状況
- 既存三晃式屋根の撤去状況です。三晃式瓦棒の既存のルーフィングもかなり劣化して、カビが生えています。これだけルーフィングが傷んでいても、部屋内に雨漏りしてなかったのは、やはり上から二重に屋根を葺いていたせいだと思われます。
既存三晃式屋根の撤去状況:半分撤去
- 既存三晃式屋根撤去を半分撤去状態です。左がコンパネです。右が既存の三晃式瓦棒です。
屋根合板の傷み
- 屋根合板傷み写真です。ひどい箇所は下地の板も腐食してました。
屋根合板の傷み具合写真
屋根木下地の補強
- 屋根木下地補強して、12mmのコンパネで補強しました。
新規屋根の下地
- 換気棟の下穴を空けた写真です。こうやって下から積み上げていくように、穴を空けていきます。
コンパネの二重張り
- 既存のコンパネ(コルク状の板)の上に下地の垂木を455mm間隔に造作していき、その上に、12mmのコンパネを設置していきます。二重張りにすることによって、かなり強度が増します。
新規屋根下地
新規屋根下地断面
新規ルーフィング
新規ルーフィング2
新規屋根の施工状況
- 新規屋根の施工状況です。デコルーフH30-455 吊子一体型篏合(かんごう)竪平葺きを丁寧にはめ込んでいきます。
新規換気棟下地
- 新規換気棟設置前の状況です。屋根の下から熱気が抜けるように下穴を空けていきます。
- 今回は換気棟を三か所取り付けることになりました。換気棟は屋根裏の熱気を屋外に逃がし、屋根裏の換気をよくする効果があります。
- それによって、屋根の持ちがよくなって、副産物として、夏場の二階の部屋の暑さを軽減する効果があります。
新規換気
新規換気完了
新規架台設置状況
- 新規架台設置状況です。今回は屋根の形状が吊子一体型篏合(かんごう)竪平葺きですので、架台を篏合をつかんで行う方法になります。
太陽光パネル取付
- 太陽光パネル取付です。丁寧にパネルを設置していきます。
太陽光パネル取付完了
- 太陽光パネル取付完了です。かなり壮観な眺めで、仕上がりがいいと思います。
完了
- 工事完了です。今回大変だった事は、年末から年始にかけてかなり立て込んでる時期の工事だった為、段取りが大変だった点と、屋根の木下地がどの程度傷んでるか、読みづらかった点です。不確定要素もありました。しかし、施主様、隣り近所の皆さん、職人さん、足場屋さんの協力を頂いて、大変助かりました。