現場の状況と経緯
- 練馬区内のお客様から大風で屋根が飛んだから応急処置と葺き替えの見積もりをだして欲しいと依頼を受けましたので、現場調査に伺いました。
- 築年数は30年前後で、屋根は板金。箱樋で笠木が周辺に廻っていて、屋根の側面は斜壁になっています。当時(新築時)はモダンだったと思われます。
- 外見をみた感じ、ところどころメンテナンスしてあるようです。ご主人様が大変器用な方で、ご自身でメンテナンスをおこなってるようで、外壁もところどころ、クラック補修はおこなってるようでした。
- 被害状況を確認してみますと、今回は大風で笠木と斜壁が剥がれ落下しそうな状態でしたのでたので、まず、早急にその場で応急処置をおこなって、本工事に対する現場調査を入念におこないました。
当社の提案内容
- 後日、本工事の提案をさせて頂きました。外部足場を組んで(お隣の敷地を借りることが出来たので大変助かりました)、極力費用を抑える為、今回斜壁、軒天井、棟のみ撤去しました(芯木と瓦棒と箱樋は残しました)。
- まず、屋根の上に垂木を30×40をはわせて下地を作ります。それから断熱材を隙間なく入れて、新規の野地板を張り下地造作します。斜壁は新規野地板を張り、下地を造作します。
- それから、新規のルーフィング23kgを設置して、新規の芯木を設置していき、GLカラーで屋根を張っていきます。それで、箱谷や笠木を加工して、芯木のカッパをかぶせて、棟板を設置して棟包みを加工設置していきます。最後に軒天井を取り付けていきます。
火災保険の適用範囲
- 今回は幸か不幸か、たまたま施主様が火災保険に加入されていたため、大風で飛んだ箇所の修理費用と足場代などの一部は保険でカバーできることになったので助かりました。実際の屋根全体の葺き替えはもちろん出ませんがまったく出ないのとは大違いです。
施工前の状況
- 施工前の状況です。表面の板金が錆びていて、かなり劣化してます。笠木、棟包みの釘が浮いていて、いつか風で飛びそうな状態です。
- こうなってくると、屋根の既存の棟包むを完全撤去して、既存の棟板(ヌキ板)を撤去して、新規全部取り替えて、屋根塗装と行きたいところですが、あまりにも傷み具合が激しい為、今回はある程度撤去できるところ、影響ない箇所は残して、完全に屋根の葺き替えることにしました。
下地垂木施工
- 下地垂木(30×40)施工です。既存の芯木を利用して新規垂木を取り付け造作していきます。
断熱材施工
- 断熱材施工状況です。今回の断熱材は、パラマウント硝子工業製のハウスロンZERO HZS105B28Lを使用します。特徴としてはホルムアルヒロを一切含まない材料を使用してます。ガラス繊維を結合するバインダーは、医薬用品、化粧品、生活用品等に使用されている原材料を使用してますので、有害物質を含まない、人にやさしい安全で安心な高機能グラスウールです。
ハウスロンZERO HZS105B28L
- ハウスロンZERO HZS105B28Lです。
断熱材施工ハウスロン
- 断熱材施工ハウスロンZERO HZS105B28Lを設置して、新規野地板を上から張って、下地の垂木にビスを止めていきます。
既存斜壁傷み状況
- 既存斜壁傷み具合です。長年の風や雨や結露で斜壁の野地板がかなり傷んでます。完全には腐食してないので、完全撤去はする必要ないと今回は判断しましたが、あまりにも著しく腐食してるようであれば完全撤去します。
野地板施工12ミリ完了
- 新規の野地板施工12ミリ完了です。野地板は下地の垂木をめがけてビスで丁寧止めていきますので、基本的にはかなり頑丈に設置してきます。
新規斜壁施工
- 新規斜壁施工です。既存の斜壁に新規の野地板12mmを張っていきます。
新規軒先唐草施工
- 新規軒先唐草施工です。ブルーの板金が唐草です。
斜壁の新規ルーフィング施工
- 斜壁を新規ルーフィング施工です。
斜壁を新規ルーフィング完了
- 斜壁を新規ルーフィング完了です。
新規ルーフィング施工
- 新規ルーフィング23kg施工です。新規のルーフィング23kgのかぶり(重なる部分)を100mmあけます。
新規芯木(40×30)施工
- 新規芯木(40×30)を施工します。
新規芯木(40×30)の施工
- 新規芯木(40×30)施工です。大分、屋根の輪郭が見えてきた。かなりデザイン的にいいと思います。
新規芯木(40×30)の採寸・施工
- 新規芯木(40×30)の採寸と施工です。
養生状況
- 養生状況です。工事期間中は毎日、防炎シートに押し縁を打ち付けて、防炎シートが飛ばないように固定します。
軒天下地組み施工
- 軒天下地組み施工完了です。軒天(下地の垂木を含む)は完全撤去して垂木を打ち直します。
軒天下地組み施工
軒天施工完了
軒天シーリング施工完了
- 軒天シーリング施工完了です。軒天と外壁の取り合い部分を雨水が侵入して腐食の原因にならないように変成シリコンを打設していきます。
新規芯木施工
- 新規芯木施工完了です。芯木は基本的に下地の垂木の上に設置するような配置で取り付けていきます。こうすることによって、下地の垂木にビスで固定するので支持されるため、頑丈になります。
新規棟下地(棟板)施工
- 新規棟下地(棟板)施工です。今回の棟板は12mmを使用しました。
新規棟施工完了
- 新規棟下地(棟板)施工です。今回の棟板は12mmを使用しました。
新規棟施工完了2
斜壁・側面施工完了
- 完了写真を施主様にお見せしたら、大変喜んでくださいました。やはり屋根が傷んで飛びそうのは、精神的かなり負担がかかるんだろうなと、感じました。施主様のお宅だけの問題だけではなくて、近隣の皆様にもご迷惑をかけることになりますので。
- ただ、屋根の棟包みが大風で飛散するという経験はなかなか無いことですから、一般のお客様にはピンとこないものです。私どもプロの施工業者は、コロニアルの屋根の10年超のお宅は既存の棟板が雨水や結露で傷んで大風で飛びやすくなってる傾向にあることを知ってますが、お客様はピンとこない方がほとんどです。もっとわかりやすく、お伝えしないといけないのかと思います。しかし困ったことに、一部の塗装業者は棟板が傷みやすいことを知らないのか、面倒くさいのかわかりませんが、棟板の取替えを提案すらしない業者もいるようです。