現場の状況と経緯
- 2017年7月18日の夕方、練馬区で激しい雹(ひょう)が降りまして、翌日、地元の不動産さんを通じて、屋根から雨漏りするというお宅の現場調査依頼が来ました。
- 実際に屋根に登って確認しましたら、現状雨漏りしているお宅の屋根が切妻の形状で、しかもお隣の屋根も切妻の形状であり、ちょうど依頼主のお宅と隣のお宅の真ん中に箱樋があります。
- 箱樋(はこどい)というのは、雨樋の種類の1つで、断面が長方形の樋のことです。
- 一番上に葺いてある、横葺きの金属瓦の北側の軒先が約3mくらい、破損してました。
- どうやら、真ん中の箱樋に雹が降り注いで箱樋に滞留し、水を吸い上げて雨漏りしたものと思われます。
当社の提案内容
- 提案としましては、箱樋の容量が少ないので屋根をかさ上げして、幅を広くして、大雨・大雪でもある程度、流量を確保できるようにする提案をさせて頂くことになりましたが、今回は半分は依頼主の屋根、もう半分は隣のお宅の屋根ですので、両方のお宅の了承・依頼を受けないといけませんので、慎重に折衝・提案をさせて頂きました。そうしましたら、隣のお宅の方にも、快く承諾・依頼を受けましたので、工事に入らせて頂きました。
- できるだけ費用を抑えるため、今回は、既存の瓦棒屋根を剥がさずにそのままの状態で木下地を組んで、コンパネ12mmをコンパネを張って、新規ルーフィング設置してGLカラーを設置していきます。
施工前現況
- 箱樋の幅がかなり狭いのと箱樋の深さが浅いせいで、大雨や大雪が降ると水が滞留して吸い上げて、雨漏りしてると考えられます。
パラペット(手すり壁)側の状況
- パラペット側にゴミが滞留してるということは、パラペット側に雨水が溜まりやすいと考えられます、ということは、慢性的に水が溜まりやすい状態だと思われます。
芯木の交換
- 反対側の隣の瓦棒屋根は今回は既存の芯木を一旦撤去して、新規の芯木に交換しました。
- どぶ板は既存の物を使用して、芯木のカッパだけ取替ました。
- よく、瓦棒葺きの屋根の塗装を依頼されることがありますが、あまりにも瓦棒葺きの年数が経過してると、長年の雨で吸い上げて、芯木が腐食したり、板金が腐食することがありますので、瓦棒屋根を塗装する場合は7年を越えたら定期的に塗装することをお勧めします。
室内雨漏り箇所
- 室内雨漏り箇所です。おそらく、大屋根のケラバと外壁とその境目から雨漏りしてると思われますので、今回はこの箇所を変成シリコンで塞いで、様子をみることにしました。
- 余談ですが、こういった雨漏り室内の汚損は家内保険の保証内容では対応できないようです。
着工・ビフォー/アフター
木下地工事完了
- 木下地工事完了です。既存の芯木を利用して、屋根の下地になる木下地を設置、打ちうけていきます。
- 隙間には、のちのちズレないように、モルタルを丁寧に詰めていきます。
モルタル隙間施工状況
新規コンパネ(12mm)設置状況
- 新規コンパネ(12mm)設置状況です
新規箱樋設置完了
ルーフィング工事
- 新規ルーフィング23kg設置完了です。
- コンパネ12mmの上にルーフィングを敷設・設置した状態です。
- これで、雨が降ってもある程度は雨漏りしなくなります。ひと安心です。
新規芯木設置状況
- 新規芯木設置状況です。455mm間隔に芯木を取り付けていきます。
新規GLカラー工事
- 新規GLカラー施工状況です。
- 芯木の立ち上がりと芯木の立ち上がりの間をGLカラーで丁度、U字加工しながら、施工していきます。
- 一番下の写真が屋根のケラバ部分の写真です。
新規棟工事
新規屋根の下地
- 新規棟の施工です。下地のヌキを入れて、上から棟板金を設置していきます。
パラペット工事
- パラペット工事状況です。パラペットの立ち上がり部分を撤去して、下地が腐食したり、傷んだりしてないか、確認して新規の立ち上がり、笠木を設置・加工取付して、シーリングで目地を打設していきます。
- どうやら、パラペットからは雨漏りしてないようでひと安心しました。
完了
- 今回、箱樋の幅が広くなり、深さも少し深くなったので、ある程度の大雨での水量でも対応できるようになりました。 たまたま工事最終日に大雨が降りましたので、様子を見てみましたら、かなり流れがいいです。 一番下は集水枡にきちんと流れている写真です。
- 両方のお客様もこれで、大雨・大雪が降っても安心できると、かなり喜んで頂きました。今回、本当に良かった事は両方のお客様ともに、大変ご理解のあるお客様で、もしも片方のお客様が工事をおやりにならなかったら、今回の工法は採用できませんでした。本当に感謝です。